漢詩「春暁」より

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チュンチュン…ホーホケキョッ…ピロロロロ…
 鳥達が障子の向こうで鳴いているようだ。今は何時(なんどき)だろうか…そんなことを思いながら、重い体を起こし障子をあけて空を見上げてみると太陽は正面より左にずれている。巳の刻あたりだろうか。また寝過ごしてしまった。
 上げていた首を下ろし庭の桜の木に目を止める。だいぶ、花は散ってしまった。きっと昨晩の暴風のせいだ。確かに障子がカタカタ鳴り、その隙間からはヒューと風が吹き込んでいた。桜もこの有り様だ。きっととても強いものだったのだろう。
 地面に散ってしまった鮮やかで小さな薄紅色をした花びらを名残惜しくボーと見ていると、春風がサーッと吹いて桜が微かに踊るように転がった。
 「さぁ遅めの朝食でも用意しよう」そう呟いて私は立ち上がった。
その他
公開:18/05/05 23:07

春鵺( 月光駅 )

春鵺(しゅんや)って読みます。
小説家を目指しているのではなく、空を見上げてみて感じたことだったり、日々を生活して考えたことだったり、趣味で書かせてもらっています。まだ、作品を応募したりはしていませんが、いつかは。。。
語彙力が崩壊しているのにも関わらず、☆を押していただき、とてもとても嬉しく思っております‼これからも何卒よろしくお願いします✨

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