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硝子で作られた人形を、一心不乱にたわしで擦っている人がいた。
人形の体には新たな傷が次々刻まれていくが、削り粉がぱらぱらと落ちるだけで未だ割れる気配はない。
その人は一度たわしを置くと次に金槌を取り出して、人形を目掛けてかつんかつんと打ち下ろし始めた。
「そんな事をしたら割れてしまいます」
見兼ねた私が一声掛けると、その人は涙に濡れた顔をこちらに向けて、
「割れないように傷を付けているんです」
と、自嘲するようにそう言った。
「これは役に立たないものなのです。何をさせるにも、どこに置くにも不具合があって、使えないものなのです。でも私はこれを本当にそういうものだと思っている訳ではないので、傷付けるつもりも割るつもりもなければ、改良するつもりもさらさら無いのです」
私はその人の手元を覗き込んだ。
金槌を持つ人と瓜二つの姿形をした人形からは、今し方付けられた傷が少しずつ消えていっていた。
人形の体には新たな傷が次々刻まれていくが、削り粉がぱらぱらと落ちるだけで未だ割れる気配はない。
その人は一度たわしを置くと次に金槌を取り出して、人形を目掛けてかつんかつんと打ち下ろし始めた。
「そんな事をしたら割れてしまいます」
見兼ねた私が一声掛けると、その人は涙に濡れた顔をこちらに向けて、
「割れないように傷を付けているんです」
と、自嘲するようにそう言った。
「これは役に立たないものなのです。何をさせるにも、どこに置くにも不具合があって、使えないものなのです。でも私はこれを本当にそういうものだと思っている訳ではないので、傷付けるつもりも割るつもりもなければ、改良するつもりもさらさら無いのです」
私はその人の手元を覗き込んだ。
金槌を持つ人と瓜二つの姿形をした人形からは、今し方付けられた傷が少しずつ消えていっていた。
ホラー
公開:18/05/03 22:02
色々疲れたのでお休み中。ここは跡地になりました。
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※小説の表紙はフリーの写真素材配布サイト「写真AC」よりお借りしてます。
https://www.photo-ac.com/
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