悪玉

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俺はイカツイプロレスラー。しかもコワモテのヒール。今日は息子の5歳の誕生日。そろそろあいつも父親の仕事を理解できる歳だろう。今日はいつものイカサマ試合を出し抜いて、マジで闘って、あいつにカッコイイ親父の背中見せてやるぜ!

試合は白熱。イケメンプロレスラーも本気になって、顔面から流血。観客からは大ブーイングの嵐。プロモーターは、途中で席を立った…。
予定調和は崩れ、悪玉は本当の悪玉に。

こんな俺だけど頑張ったんだ。息子よ、お父さん、カッコ良かったか?

「ダメだよ、お父さん。ほどよく闘って、ほどよく負けるのがお父さんの仕事でしょ!ぼくたちの生活がかかっているんだから、ちゃんとしてよ!」

まったく、よくわかってやがるぜ‼︎
息子の成長に涙したその涙には、悪意のかけらも混じっていませんでした。
その他
公開:18/05/03 06:17
更新:18/05/03 06:41

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