満月のべっぴんさん

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37歳、独身。丸顔。少し前まで私はこの丸顔が最大のコンプレックスだった。

しかし30歳を過ぎた頃転機はやって来た。周りの友人の多くが結婚をし、子供を持った。出先に子供たちが来るシーンが増えた時、ある事に気が付いた。子供が笑うのだ。私の顔を見てとにかく笑うのだ。時には笑い過ぎて「え、どうした?ゾーン入った?」と言う時も珍しくない。

生まれたばかりの赤ちゃんからイヤイヤ期中までとにかく私の顔を見れば笑う。最初は気のせいだと思っていたが、そのうち電車の中や道端ですれ違うだけの子供らが泣きやんだり笑うようになった。

そんな折、どこからか噂を聞きつけたという海外の大物セレブからベビーシッターを頼まれた。来日したセレブの子供をとにかくご機嫌にするのが私の仕事だった。私には何もない、あんなに大嫌いだったコンプレックスに今は頼るしかない。

あれから数年。

今日の現場はまさかの「武道館」である。
公開:18/04/30 23:02

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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