シーフード

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南の島で買った海色のパーカーは僕のお気に入り。なんと海を体感できるパーカーだ。
フードを被るとキラキラ光る海面が見えた。首元の紐を引っ張り、海中へと潜る。浅瀬の魚たちの楽園。海亀に手を振る。遥か頭上には船底が見える。本物の海のようだ。島の人に、深く潜り過ぎないようにと忠告されたが、今日はもう少しだけ潜ってみることにした。
次第に辺りは暗く、体は冷たく、息苦しさを感じてきた。ここは深海の世界。パーカーは体に張りついたが、好奇心が勝ち、さらに潜った。
ついに人類未踏の最深部に到達!謎の巨大生物の目が光った。僕は近づこうとした。が、紐を限界まで引っ張ってしまい、顔が塞がれ息ができない。なんとか僅かな隙間に指をかけ、一気に広げた。急浮上で見た海のグラデーションは、一瞬だったが怖いくらいに美しく、鳥肌が立った。
お腹いっぱい海を感じた僕は、フードを脱ぐと、思わず耳に入った海水を抜こうとケンケンした。
ファンタジー
公開:18/04/30 22:34

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
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ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

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