海は知っている。
0
132
「この夕焼けを君にプレゼントするよ。大切な君だけに」
海は知っている。この男、今まで付き合った女全員に同じことを言っている。
「嬉しい」
頬を染める女。
海は知っている。この女、この夕焼けを見飽きている。
二人の距離が縮まる。
「俺の恵に何か用か?」
突如、厳つい男が現れ、女の肩を抱いた。
厳つい男の一睨みに男は慌てて逃げ去った。
「あっ…折角いいところだったのに…」
「残念だったな」
海は知っている。この二人、親子なのだ。
海は知っている。男は娘が心配でずっと見張っていたのだ。
「パパのバカ!」
男の腕を払い、肩を怒らせて歩く娘。男はそれを見守る。
「じゃ、帰るか。今日の晩飯は何かな?」
「カレーじゃない?そんな気がする」
海は知っている。この男の妻が今日カレーの材料を買っていた。
海は知っている。こんな日常こそが幸せなのだと。
海がそう感じていることを、山は森の水を便りに知っている。
海は知っている。この男、今まで付き合った女全員に同じことを言っている。
「嬉しい」
頬を染める女。
海は知っている。この女、この夕焼けを見飽きている。
二人の距離が縮まる。
「俺の恵に何か用か?」
突如、厳つい男が現れ、女の肩を抱いた。
厳つい男の一睨みに男は慌てて逃げ去った。
「あっ…折角いいところだったのに…」
「残念だったな」
海は知っている。この二人、親子なのだ。
海は知っている。男は娘が心配でずっと見張っていたのだ。
「パパのバカ!」
男の腕を払い、肩を怒らせて歩く娘。男はそれを見守る。
「じゃ、帰るか。今日の晩飯は何かな?」
「カレーじゃない?そんな気がする」
海は知っている。この男の妻が今日カレーの材料を買っていた。
海は知っている。こんな日常こそが幸せなのだと。
海がそう感じていることを、山は森の水を便りに知っている。
公開:18/05/01 19:14
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます