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初夏だった。
北国の初夏。
七夕前日に、祖父は旅立った。
「おじいちゃん、今どこにいるの?」
葬儀の準備に追われる中、幼い従妹の問いに「今日は七夕だから、きっと織姫様と彦星様と一緒にお空にいるよ」と答えたのを覚えてる。
それから、数年。法要の時に従兄と姉と妹、私の四人で海へ出かけた。
太陽は海に反射し、水面が光っていた。
砂浜を歩き、足を浸すと、引く波が私の足の周りを砂と一緒にさらさら流れた。
祖父は、今はどこにいるんだろう。
この空には太陽が強くて、星の輝きは見えない。
水平線が丸く見えた。
丸く、果てしなく。
それは、『環』を連想させた。
……そうだね。きっと、どこにいるかは関係なく。
『いつか』。
そう、いつかは私もそっちに逝くのだから。
全てを生み出す海に生死を全て委ねよう。
私はゆっくりとその場を後にした――
北国の初夏。
七夕前日に、祖父は旅立った。
「おじいちゃん、今どこにいるの?」
葬儀の準備に追われる中、幼い従妹の問いに「今日は七夕だから、きっと織姫様と彦星様と一緒にお空にいるよ」と答えたのを覚えてる。
それから、数年。法要の時に従兄と姉と妹、私の四人で海へ出かけた。
太陽は海に反射し、水面が光っていた。
砂浜を歩き、足を浸すと、引く波が私の足の周りを砂と一緒にさらさら流れた。
祖父は、今はどこにいるんだろう。
この空には太陽が強くて、星の輝きは見えない。
水平線が丸く見えた。
丸く、果てしなく。
それは、『環』を連想させた。
……そうだね。きっと、どこにいるかは関係なく。
『いつか』。
そう、いつかは私もそっちに逝くのだから。
全てを生み出す海に生死を全て委ねよう。
私はゆっくりとその場を後にした――
その他
公開:18/04/29 07:33
思いついたままに、文字を綴る。
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