時空混濁

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俺は自分の身分証を取り出した。
「俺の名はサトウ──まだ俺は、俺で在るようだ」
貼り付けた写真には、サトウと記されている。

ことの始まりは、違法であるはずの「時間旅行」が若者の間で大流行したことによる。
対応の遅い政府が時空警察を発足し、取り締まりを強化した頃にはもはや手遅れ。そこいらじゅうに「親殺しのパラドックス」の痕跡が見つかった。
専門家の意見では、彼らの行った多くの歴史的矛盾は「パラレルワールドが発生して自然に解決する」はずだった。
だが、時間を弄ぶということは、そんな都合のよいものではなかったのだ。
しばらくすると「時空混濁」が現れた。
いままで在ったはずの建物が消え、居たはずの人々は消え、あるいは別の人物に置き替わり、人々の記憶さえも混濁しはじめた──。

俺は自分の存在を確かめるため、再び身分証を取り出した。
「やれやれ、今の所まだ俺は、俺で在るようだ。俺の名はスズキ⋯⋯」
その他
公開:18/04/29 01:05
更新:18/09/17 15:36
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渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

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