マリンブルーの空

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「空がどうして青いか知ってる?」
空を見上げながら母さんが言う。その日は快晴で、いつもより空の青さが濃いように見えた。

「あれはね、空にある海の色なのよ」

僕はどきっとした。



母さんの口からその言葉が出てくるとは思わなかった。

4年前、弟の淳也は海で溺れて死んだ。母さんは毎日淳也の海パンを握りしめながら「わたしのせいだ」と泣いた。その日から僕は海水浴はおろか、学校のプールさえも入らせてもらえなかった。通っていた水泳教室も辞めさせられた。

「淳也は海が大好きだったから、きっとあそこで楽しく泳いでると思うの」
「空の海がね、地上の海と違うところは、決して溺れないってことなのよ」

母さんは一人でしゃべり続けた。まるで自分に言い聞かせるように。
そういえば、今日は母さんが泣いていない。

「日曜日、海水浴に行こうか?」母さんがぽそっと言い、マリンブルーの空から僕に視線を移した。
公開:18/04/28 16:59
プチコン2 海

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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