くじらの涙

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浜辺におじいさんがいた。
「なにしてるの?」
ぼくは尋ねた。
「くじらの涙を集めているんだ」
大きなしずくの玉を抱え、おじいさんは微笑む。
「涙には、いつだって理由がある。耳に当て、くじらの声を聞くんだ…ふむ、奥さんが病気で…辛かったね」
するとしずくから蒸気が上がり、艶々と美しいガラス玉になった。
「涙が、成仏したのさ」
「集めてどうするの?」
「漁港で配ったり、街で売ったりさ。さ、これをあげる」

後日、もらったガラス玉を学校に持って行くと、みんなはこう言った。
「それ、浮き玉だよ。嘘つき」

しょんぼりして家に帰ると、母が出迎えた。
「なに?その浮き玉」
泣きながらおじいさんの話をするぼくに、母は言った。
「素敵な話!母さんは信じるよ」
その慰めにぼくは泣き止み、そして気づいた。ほら、嘘じゃない。ぼくの足元では、小さなガラスの粒々がキラキラ輝いていた。
ファンタジー
公開:18/04/28 11:46
更新:18/05/24 21:07

あおい( 北海道 )

結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。

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