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俺は生まれつき目つきが悪かった。普通にしていても睨むような眼は周りを常に威圧していた。
俺は人相が悪かった。凶悪犯さながらな顔に皆が俺を避けた。当然、友達なんて一人もいない。
何より俺は運が悪かった。
道で困っているお婆さんを助けようとすれば、逆に助けを呼ばれた。
カツアゲされていたクラスメイトを助けようとしたところ、カツアゲと間違われ、不良からさらに金品を差し出された。
その度に学校から何度も呼び出しを食らった。
ある日バスに乗ったところ、運転手さんが突然倒れた。
俺はとっさに運転手さんに変わり、運転席に座るとハンドルを切り、ゆっくりとバスを停車させた。
乗客からバスジャック犯と間違われ、警察沙汰になった。

そんな俺はこれらの経験を活かし、警察官になった。
悪い運は悪い事を取り締まるのにピッタリだ。
生まれついての悪なのにそれを悪に活かそうとしない。
これが俺に出来る精いっぱいの悪だ。
公開:18/04/29 18:48
更新:18/05/02 19:05

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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