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老人は駅の待合室で電車の時間を待っていた。
ふと顔を上げると、向かいの席に同じくらいの歳の女性が座っている。彼は女性の顔を見るともなしに見て、
-品のいい人だ。若い頃はさぞかし美しかったのだろうな-
と思った。
-額と目元の皺がなければ、随分印象が違うだろう-
若者が美顔アプリで自撮り写真を加工するかのように、頭の中で女性の顔から皺を消してみる。
-うん、いいぞ。ほうれい線を消して、肌にピンとハリをもたせて…-
想像の中の女性が若返っていく。
-あとは少し頬をふっくらさせて、髪型は…-
その刹那、突如古めかしいお下げ髪のイメージが女性の顔に被さり、老人は反射的に立ち上がって声をあげた
「やぁ、君は幼馴染のユキちゃんじゃないか!」
女性は驚いたように目を見開いたが、次の瞬間、懐かしそうに微笑んだ。
「やだ、隆司君⁉︎久しぶりねぇ…」
その目元には美しい笑い皺がさざめいていた。
ふと顔を上げると、向かいの席に同じくらいの歳の女性が座っている。彼は女性の顔を見るともなしに見て、
-品のいい人だ。若い頃はさぞかし美しかったのだろうな-
と思った。
-額と目元の皺がなければ、随分印象が違うだろう-
若者が美顔アプリで自撮り写真を加工するかのように、頭の中で女性の顔から皺を消してみる。
-うん、いいぞ。ほうれい線を消して、肌にピンとハリをもたせて…-
想像の中の女性が若返っていく。
-あとは少し頬をふっくらさせて、髪型は…-
その刹那、突如古めかしいお下げ髪のイメージが女性の顔に被さり、老人は反射的に立ち上がって声をあげた
「やぁ、君は幼馴染のユキちゃんじゃないか!」
女性は驚いたように目を見開いたが、次の瞬間、懐かしそうに微笑んだ。
「やだ、隆司君⁉︎久しぶりねぇ…」
その目元には美しい笑い皺がさざめいていた。
その他
公開:18/04/27 09:46
更新:18/04/29 10:38
更新:18/04/29 10:38
ショートショート講座への参加をきっかけに、登録させて頂きました。
子供のころからショートショートの大ファン。
文章は、書くのも読むのも大好きです。
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