傘おばけ

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傘おばけが散歩していると、にわか雨がふってきました。
でも傘おばけは雨が大好きです。だって体が傘でできてますからね。

学校帰りの小さな女の子が、雨にぬれながら走ってきます。傘おばけは、そっと自分の傘に入れてあげました。
「ありがとう!」
強い日差しや鳥のふんからも守ってもらえるので、女の子はずっと傘おばけの傘で通学しました。
しだいに、女の子の友達、そのパパやママ、おじいちゃんおばあちゃん、ペットの犬猫と増えてゆき、町全体を傘でおおうことになりました。
傘でおおわれた町の噂を聞きつけた人々から「ぜひうちの町も」と頼まれ、傘はどんどんと大きくなっていきます。
数十の町をおおった頃、さすがの傘おばけも少しふらふらしてきました。
しかし、人々の要求は止むことがなく──。

ある日のこと、「どしーーーん!」という大きな地響きと共に、傘おばけは数十の町と人々を巻き込んで倒れてしまいました──。
その他
公開:18/04/27 20:50
更新:19/10/18 01:05
核の傘

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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