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幼い頃から入退院を繰り返していた私は、人生の殆どを病院で過ごした。
そんな私の趣味は文通だった。字を書くことで相手により気持ちが伝わる気がしたから。
だが私は返事を書くのが遅かった。そのため、文通相手も徐々に減っていった。
でもソラという人だけは私と文通を続けてくれた。ソラはどんな話でも聞いてくれた。
返事をくれるのが早いのに、私の返事が遅くなっても気を悪くする様子もない。私はソラとの文通が何より好きだった。
でも、私はもう文通が出来ない。病状が悪化し、指一本動かせない体になってしまった。
空っぽになってしまった日々。そんな時だ。ふと頭の中にメッセージが届いた。
「ソラです。今まで黙っていましたが私、宇宙人です。貴方とまた文通がしたくて頭の中に言葉を送っています。もし、これからも文通してくれるのならお返事を下さい」
涙が出た。私の答えは決まっている。
「こんな私ですがこれからもよろしく」
公開:18/04/27 19:10

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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