涙が出ない

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一昨日、僕らは別れた。昨日は一日何も手がつかなかった。気がつけば今日僕は、会社をサボって電車に揺られている。彼女との楽しかった思い出が走馬燈のようにかけ巡る。でも、涙が出ない。一粒の涙が流れたらどんなに楽になれるんだろう、思い出も一緒に。終着駅に着き、僕は海に向かった。大きな海が僕を優しく包み、泣けるのではと思ったから。誰も居ない海。ゆっくりと砂浜に座る。遠くには遊園地が見える。「連れて行く」と宣言してから何年か越しに約束を果たした遊園地。あの時の彼女の笑顔は忘れられない。もうあの笑顔には会えないのかと思うと感情が高ぶる。でも、涙が出ない。午後の日差しに照らされて海は綺麗に輝いている。僕を励まそうとしているみたい。日が沈み始めた。僕は何時間、『思い出』という過去に浸っていたのだろう。苦しく辛く締め付けられる僕の心。でも、涙が出ない。涙は叶わぬ夢か。ならば、僕はこの涙を背負って生きていこう。
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公開:18/04/27 14:43

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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