できる博士

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「人間、思い込む事が大事なんだよ。いやむしろ、思い込むという概念すら正しいとは言えない、恐らくそれが事実でそれ以外ないというスタンスでいいと思うんだな。」

鼻息荒く博士は言った。僕は最近博士の助手になったばかりの学生で、博士は人間の脳を外からの力で刺激して急激に進化させるという研究をしていて、その道では割と有名、らしい。

「博士、それはつまり精神論ってやつではないですか?自己啓発的な。まぁ外側からの力といえばそうだと思いますけど、何か思ってたのと違うと言うか」

僕が意見すると博士は「シッ」と小さく息を履いてしょぼしょぼで半分伸びなくなった人差し指を口元に当てた。

するとミシミシミシと木の根が軋むような音が聞こえ次第に大きくなって行く。よく見ると博士の頭にブロッコリーが生えていた。

「博士!頭!」指さす僕に博士は笑いながら言った。

「青年よ、目で見えるものだけが真実とは限らんよ」
公開:18/04/25 23:34

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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