0
138

「ばいばい」

困ったように笑ってそれだけを遺し、処刑台に向かう女を易々と見送ってしまった己だけは、きっと一生赦すことはできないのだろう。

政務室で寝落ちした己の肩を揺らし起こしてくれる人間は、もうこの世に一人もいない。

今でも寝起きに現れる幻想の女に、一つだけ願えるのならば。

(許すな)
ファンタジー
公開:18/04/25 09:51

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容