ロボット

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「こんな雑用、ロボットにやらせればいいんだよ」
と、おれはボヤいた。
「いまどき畑仕事を人間がやるなんて、ナンセンスもいいとこだよ。昔にくらべて人型ロボットもずいぶん安くなったと聞くし、こんな仕事こそロボットにやらせるべきじゃねえのかよ?」
おれはひとりでグチをこぼしながらせっせと働き、広い畑を耕していった。
「やれやれ、やっと終わった。ひと休みしてから家に帰るとするか⋯⋯」
あぜ道に腰をおろしていると、畑のむこうからひとりの男が近づいてくるのが見えた。誰がやってきたのだろうと、じっと見ているとおれに背格好がよく似ている。
さらに近寄ってきたので、まじまじと男の顔をみると、どう見てもおれと同じ顔の男だ。

「あ、あ、あんた、いったい何物なんだ!?」
おれは、おれそっくりの男にそう言いかけたが、男はおれの耳の後ろに手を触れると、
「身代わり、ご苦労さま」
と言っておれの電源を停止した──。
その他
公開:18/04/26 03:08
更新:18/10/07 18:54

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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