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手すりを乗り越えてから、彼は今までの人生を振り返った。
 全てにおいて幸運だった人生。小さな頃から好きな物は買ってもらい、受験は何もしなくても合格していた。恋愛もそれなりに出来たし、妻はどこからともなく現れていた。子供に恵まれた彼は周りから羨ましがられる人になっていた。
 ……彼は、ふっと息を漏らした。何もしなくても進んでいく人生に、何か虚無感と1種の憤りを覚えたのだ。彼は覚悟を決め、手すりから手を離し、体を重力に任せた。
 そのとき、風がびゅうっと吹いた。彼は一瞬顔を歪めたが、彼の体は意思を持ちながら落ちていく。
 ぼんっ。何が起きたのか分からない。彼は目を開け、下でやっていた祭りのバルーンに自分が落ちたことに気付いた。深くため息をつき、その場を離れようとした。彼は視界の端の猛スピードでやってくるトラックに気付いた。彼は顔色一つ変えず、まっすぐと歩き始めた。
その他
公開:18/04/24 13:56

くろしゅん( 福岡 )

理系の大学生です!ショートショートを読むのが好きで、少し書いてみようと思い、始めました!!

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