馬肉猫─後日譚

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どこかの研究者が作ったという「馬肉猫」なるものが、肉屋の店頭に並び始めた。ある薬を注射するだけで、どんな動物でも馬肉のような味になるというのだ。
その後、色々な動物との掛け合わせが、肉屋の店頭に並び始めた。
「馬肉犬」、「馬肉鶏」、「馬肉牛」、「馬肉鯨」と色々あり、掛け合わせる動物で微妙な味の違いが楽しめる。最終的に「鹿」との掛け合わせが、いちばん美味しいというので人気が出た。
が、この鹿との合成肉だけ、重大な欠陥があることが分かった。どうやらこの肉を食べた人間にも、馬の特徴が現れるらしいのだ。
馬ヅラをした人々が「ヒヒーーーン!」といういななきとともに、町中を駆け回る姿がしばらくのあいだ続いた。
鹿と馬を掛け合わせた「馬肉鹿」は肉屋の店頭から消え、事態は収束した。多少の後遺症を残して──。

おれは毎朝、自分の姿を鏡で見るたびにこう思う。
「なんて、馬鹿な顔なんだろうか⋯⋯」
その他
公開:18/04/26 01:00
更新:18/09/17 15:28
キメラ

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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