カウンター

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ついに世界の人口が「百億を突破する日が来た」というニュースで、世間は大いに盛り上がっていた。
おれはTVの前で、人口を表示するカウンターがあとわずかで百億を越える様子を眺めていた。世界中の人々がカウンターの数字に固唾をのんでいることだろう。

「九十九億九千九百九十一、二、三」と、カウンターの数字は伸びて行き、いよいよ九十九億九千九百九十九まできた時──突然カウンターの数字が停止した。
大きな交通事故でもあったのか、いくら待ってもそれ以上に数字が伸びない。
そのうち、世界中で「謎の突然死」が起こっているらしいというニュースが流れてきた。新しい生命がこの世に生まれるたびに、年寄りが突然亡くなるというのだ。
世界中で人口規制が始まり、事態は一応の収束をみた。
その後も原因はまったく分からなかったが、どうも百億が人類の上限という事なのだろう。

「神様に乾杯⋯⋯」
おれはTVを消した──。
SF
公開:18/04/24 01:10
更新:18/10/07 18:53

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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