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海も迷惑だろう。
防波堤に立ち、訳もなく「バカヤロー」と叫ぶ輩がいる。
よろしく俺も「バカヤロー」と叫んだが、叫ぶなりの訳があった。

彼女の浮気のせいだ。昨日のこと。
一日経って、その事実を受け止め、俺は海にきた。
「バカヤロー」の言葉とともに婚約指輪を投げ捨てる。
けして安いものではなかったが、そうするしかなかった。

数日後、先輩に中華料理をおごってもらうことになった。
俺は大好物の小籠包を注文する。

「この店の小籠包は特別でね。まるで海そのものなんだ」

半信半疑だったが、言うとおりだった。
その旨さときたら、海がまるごと入っているとしか言いようがない。
3つめの小籠包を割ったときには、「バカヤロー」という声までした。

確かにバカだった。
彼女の浮気は俺の勘違いだったのだ。
それなのに指輪を捨ててしまい、プロポーズもできない。

4つめの小籠包を割ると……
青春
公開:18/04/23 22:40
更新:18/05/04 23:56

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