海とドレス
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結婚式の打ち合わせで彼女が言った。
「海のドレスが着たいの」
漁港で育った幼馴染の僕らにとって、海は特別だ。
「つまり、青いドレス?」
「そうじゃなくて。まあ、私に任せて」
結婚式当日、彼女は純白のドレスに身を包んでいた。しかしよくみると、裾が黄金色に薄っすらと染まっている。まるで海霧に昇る朝日のようだった。
海のドレスは変化を続けた。彼女が動くと、波が立ち水面が燦く。時折、エメラレルド色が青に溶け、ドレスを撫でる様にカモメが飛んでいった。
「素敵でしょ」
「うん…全部、君と見た海だ」
式も終盤に差し掛かると、ドレスは茜色に染まった。
その時、彼女は「いけない」と叫び、突然会場を飛び出した。訳がわからず彼女を必死で探す。やっと見つけた時、そこには漆黒のドレス姿があった。
「…すっかり忘れてたの。夜の海は闇を飲み込んだみたいに恐ろしい。流石に、これではいられないわ」
「海のドレスが着たいの」
漁港で育った幼馴染の僕らにとって、海は特別だ。
「つまり、青いドレス?」
「そうじゃなくて。まあ、私に任せて」
結婚式当日、彼女は純白のドレスに身を包んでいた。しかしよくみると、裾が黄金色に薄っすらと染まっている。まるで海霧に昇る朝日のようだった。
海のドレスは変化を続けた。彼女が動くと、波が立ち水面が燦く。時折、エメラレルド色が青に溶け、ドレスを撫でる様にカモメが飛んでいった。
「素敵でしょ」
「うん…全部、君と見た海だ」
式も終盤に差し掛かると、ドレスは茜色に染まった。
その時、彼女は「いけない」と叫び、突然会場を飛び出した。訳がわからず彼女を必死で探す。やっと見つけた時、そこには漆黒のドレス姿があった。
「…すっかり忘れてたの。夜の海は闇を飲み込んだみたいに恐ろしい。流石に、これではいられないわ」
ファンタジー
公開:18/04/24 23:22
更新:18/05/19 11:18
更新:18/05/19 11:18
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
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