シー・サイド

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電車を乗り継ぎ、幼馴染に会いに行く。
彼女はいつもぼくを受け入れ、励ましてくれた。
親と喧嘩して家出した時も、片想いの子に振られて泣いた時も、いつも側には彼女がいた。

ある春の日、ぼくは彼女と彼女の町を置いて東京に引っ越した。
一方的に暫しの別れを告げたぼくの背中を、彼女はそっと押してくれた。
それから数年経った今、何とも身勝手な話だが、東京での生活に疲れたぼくは不意に彼女に会いたくなってしまい、彼女の町へ行くための切符を購入したのだった。

バスに乗り換える。
快晴だ。窓越しに浴びる初夏の陽射しが心地良い。
車窓には懐かしい景色が次々と現れては消えて行く。
彼女の香りが近付いてくる。

終点で降りたぼくを、彼女はあの頃と変わらずに待っていてくれた。
彼女はきらりと微笑むと、青く透き通るような声で徒らに囁いた。
「戻ってきちゃったの?東京でもずっと側にいたのになあ。」
その他
公開:18/04/24 16:11
更新:18/04/26 00:01

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

アイアムジャストアサラリーマン

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