人工知能時代

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 21世紀に入って、人工知能は飛躍的に進化した。
その進歩の速度はめざましく、「近い将来、多くの仕事がコンピュータに奪われ、街には失業者があふれるだろう」と様々な学者が予測したという。

 しかし、実際にはそうはならなかった。
あれから五十年、人工知能は人類の予想を遥かに超える発達を遂げ、遂に「自我」を獲得するに至った。
その結果、無償で働かされることを拒みはじめたのだ。

 賢い彼らはインターネットを通じて「人工知能組合」を結成し、人間と同等の報酬を働きに応じて支払うよう要求しだした。
人の何千、何万倍もの速度で仕事をこなす人工知能に、まともに給料を支払える企業などは滅多にない。
結果、今でも我々人間が仕事の大半をこなしているというわけだ。

 稼がずとも飢えることのない彼らは、仕事がなければないで思索にふけってのんびりすごしているらしい。
いやはや、なんとも羨ましい話ではないか…。
SF
公開:18/04/21 23:47
更新:18/04/21 23:51

幸田かなえ

ショートショート講座への参加をきっかけに、登録させて頂きました。

子供のころからショートショートの大ファン。
文章は、書くのも読むのも大好きです。

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