モラトリアム野球
2
140
ある田舎の片隅に弱小の野球部があった。弱いので後輩は入って来ず、全員が三年生だ。なぜ弱いのか、それは彼らが生粋の怠け者であったからだ。しかし、だからこそ彼らは最後の大会で立ち上がった。練習を死ぬ気で始めたのだった。朝は暗い内から走り込み、夜遅くまで鉄アレイを上げた。身体はみるみると一流の野球を行えるようになり、見事甲子園に出場した。
この辺りになるともう気迫の問題である。彼らは勝ち進んだ。
しかし破竹の勢いは決勝戦で急速に衰えた。攻守が変わる度に動きが悪くなり、歴史的大差で負けた。
世間は疲れが出たと訳知り顔で言って彼らを労った。
彼らを記者として追っており仲良くなっている私は本当の答えを聞いたが、公表はしない。
ファンたちが悲しむのは見たくない。
彼らは生粋の怠け者だったのだ。
どうして君らはそんなにがんばるのか私が問うた時、彼らは口を揃えてこう言った。
「受験勉強をしたくない」
この辺りになるともう気迫の問題である。彼らは勝ち進んだ。
しかし破竹の勢いは決勝戦で急速に衰えた。攻守が変わる度に動きが悪くなり、歴史的大差で負けた。
世間は疲れが出たと訳知り顔で言って彼らを労った。
彼らを記者として追っており仲良くなっている私は本当の答えを聞いたが、公表はしない。
ファンたちが悲しむのは見たくない。
彼らは生粋の怠け者だったのだ。
どうして君らはそんなにがんばるのか私が問うた時、彼らは口を揃えてこう言った。
「受験勉強をしたくない」
その他
公開:18/04/23 13:01
ログインするとコメントを投稿できます