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兄上。

無邪気に己を呼ぶ妹の姿が、今も瞼に焼き付いている。

書庫で文献を探している内に寝落ちしていたらしい、事態を把握し膝上で開いたままの書物を閉じる。

あの愛しい声を喪って、もう幾年が過ぎたろうか。

二度と戻っては来ない音色に馳せる想いと涙の跡が、夕焼けに彩られた書庫に哀愁を漂わせた。
その他
公開:18/04/23 11:39

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