夢見の丘

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とある町のとある丘。
いつもは数人の小学生が遊ぶだけのこの丘は、満月の日にだけその姿を変える。
多くの人々がシートを持って集まり、影の森となるのだ。
集まるのはなにもこの町の住民だけではない。
隣町のみならず、県外、海外からも多くの人が押し寄せる。
皆の目的は同じ。
この丘で、夢を見ること。

今日も夢の上映が始まった。
月に写し出されたのは誰の夢か。
蝶のような羽で、鳥と共に空を飛んでいる。
鳥が雲をパクリと食べる。
そして、パタリと雲に横たわった。
誰かはそれを捌いて広げ、じっくりと焼き目を付けていく。
気がつけば、僕の左手には焼き鳥が握られていた。
森からのサービスだろうか、特製ダレは柚子の香りが効いていた。

月が沈み、旭が昇る。
影の森は、いつもの丘に戻っていた。




森を抜けた者はいない。
それなのにどこで聞いたか今月もまた、多くの者がやって来る。
ホラー
公開:18/04/23 05:33
更新:18/04/25 03:56

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