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航海の途中で私は小さな島に立ち寄った。島に住む人々はとても親切にしてくれた。
島を離れる日、特に仲良くしてくれた島の女性が私に一つの貝殻をくれた。
「この貝殻に耳を当てれば、島の声が聞こえるわ。私たちを忘れないでね」
女性はそう言って私の手をぎゅっと握った。
私は本土に戻ってから、折に触れてその貝殻を耳に当てた。貝殻からは穏やかな波音が聞こえ、時には島の人々の笑い声も聞こえてきた。
しかしある日、私が貝殻に耳を当てると、荒れ狂う嵐の音が聞こえた。私はすぐにあの島に向かった。
本土からあの島へ向かう船の中で、船頭から「あの島は大きな嵐に見舞われ、島民は皆、海に還った。傷ましい事だ」と聞かされた。
島につくと島民は一人も残っていなかった。家々はなぎ倒され、木々は吹き飛ばされている。誰もいなくなってしまった島で、私は貝殻を耳に当てた。
島が泣いている。そう錯覚したが、泣いていたのは私であった。
島を離れる日、特に仲良くしてくれた島の女性が私に一つの貝殻をくれた。
「この貝殻に耳を当てれば、島の声が聞こえるわ。私たちを忘れないでね」
女性はそう言って私の手をぎゅっと握った。
私は本土に戻ってから、折に触れてその貝殻を耳に当てた。貝殻からは穏やかな波音が聞こえ、時には島の人々の笑い声も聞こえてきた。
しかしある日、私が貝殻に耳を当てると、荒れ狂う嵐の音が聞こえた。私はすぐにあの島に向かった。
本土からあの島へ向かう船の中で、船頭から「あの島は大きな嵐に見舞われ、島民は皆、海に還った。傷ましい事だ」と聞かされた。
島につくと島民は一人も残っていなかった。家々はなぎ倒され、木々は吹き飛ばされている。誰もいなくなってしまった島で、私は貝殻を耳に当てた。
島が泣いている。そう錯覚したが、泣いていたのは私であった。
その他
公開:18/04/23 01:02
更新:18/04/23 01:08
更新:18/04/23 01:08
作家としてショートショートや短いお話を書いています!
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光文社文庫「ショートショートの宝箱」に「ふしぎな駄菓子屋」収録。
幻冬舎「未来製作所」に「砂漠の機械工」他収録。
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