深海のロケット

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海の底にも人は住んでいて、それなりの文明を育んでいた。
海底人のシーライト兄弟が、深海を飛ぶ飛行機をつくった。
それから長い年月、なんだかんだ発明されて、ついに海底から飛び立つためのロケットが完成。

実験用ロケットにはシーラカンスという深海魚を乗せることになった。
残酷に思うだろうけど、地上人だって似たようなことをしたんだ。
アカゲザルとかハツカネズミとかイヌを乗せた。

シーラカンスを乗せたロケットは発射。
超深海層を抜け、深海層を抜け、漸深層を抜け、中心層を抜け、表層に達した。

水圧が減る度に加速し、海面から出たときの速度は手がつけられなかった。
境界層を抜け、自由大気を抜け、成層圏を抜け、中間圏を、熱圏を、外気圏を抜け、宇宙空間に飛び出た。

大気からも開放されたロケットは光の速度を越え、時を超えて、過去へ。
シーラカンスは4億年くらい前の古生代デボン紀の深海に投げ出された。
SF
公開:18/04/22 23:35
宇宙 ロケット

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