博士の発見

重力について研究している著名な博士が新発見について発表を行った。
博士は集まった人々に向けて話し始めた。
「私は長年の研究により、今までの重力の概念を覆す発見をしました。」博士の言葉を一言一句聞き逃すまいと人々は耳を傾ける。
「今からそれをお見せしましょう。」そう言うと博士は海の方を向いた。なぜ発表が断崖絶壁の崖の上で行われたのかを理解する頃には博士は海に向けて走り始めていた。まさか自分の身を投げ打って新発見を発表する気なのか。誰も博士の意思を妨げることは出来なかった。博士は新発見と共に散るのだ。誰もがそう思ったその時だった。
博士は空中を歩いていた。1歩、2歩と確かな足取りで進み、何歩か歩いたところでこちらに戻り、こう言いった。
「私は、人間は下を向かない限り落下することはないということをアニメから発見しました。」
フィクションの話は意外と現実味を帯びていたりすることを初めて知った。