ベッドの下に隠してあったあの本がない

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ない、ない、ベッドの下に隠してあったあの本がない。
どこ行った、僕の大切な本、どこ行った?
丁重に隠しておいたのに。
家を出るまでは確かにあった、早起きしてじっくり睨んでしっかり隠した。
帰ってきた時、そういえば、母さんが部屋から掃除機持って出てきた。
背中向けてて見えなかったけれど、ひょっとして......多分そうだ、絶対にそうだ。あいつ、普段会社の経理で家で仕事するくらい忙しいくせに変な時に母親ヅラしやがって。
リビングに向かう。テーブルの上には、その本が置いてあった。
僕は怒りに任せて、大声をあげる。
「なんでこの本がここにあるんだよ」
「あら、だってあなたにはまだ早いわ」
「まだ早いってなんだよ!」
僕はテーブルの上の六法全書を指差す。
「わかってるんだぞ、母さんが会社経理で不正していること。この法律に反している!」
それから、しばらくして、僕と母さんの法廷での戦いが始まる。
青春
公開:18/04/19 21:55

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