リトル・グレイの肖像。

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リトル・グレイは孤独であった。
独り宇宙船に乗り、月の陰から地球を観察しなければならないからだ。
唯一の娯楽と言えば、地球の本を読む事であった。

ある日、彼は名前の共通点に惹かれ『ドリアン・グレイの肖像』という小説を読んだ。

粗筋はこうである。
『美少年ドリアン・グレイは画家に肖像画を描いてもらう。美しかった肖像画はグレイの内面を表すかの如く醜く年をとるが、何故か彼自身は若く美しいままで……』というものだ。
リトル・グレイも早速、地球の画家をアブダクション(※宇宙人による誘拐)し、自画像を描かせた。
するとどうだろう、地球と環境が違うせいか、グレイより先に肖像画の方が傷み始めた。
キャンバスが綻び、絵の具に徐々にヒビが入ると、彼の皮膚にもヒビが入った……。
次第に絵の具が色あせ、粉々に剥がれ落ちる頃──。

船内からグレイの姿は消え、無人の宇宙船だけが今も月の陰から地球を見守っている。
SF
公開:18/04/19 21:02

椿あやか( 猫町。 )

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