学校の怪談（走る人体模型）

夜になると理科室の人体模型がひとりでに走り出す。人が見ていない隙にスーッと動き出し、人が通るとピタッと止まる。だるまさんが転んだをする様に。理由はいたって単純だ。生徒の誰かがルンバの上に人体模型を置き、接着剤で固めたから。理由を知っていても夜に見ると気味が悪いものである。警備員の様に各部屋、各部屋を見回りするのだから
えっ、あれって人体模型だったの。てっきり人間だと思っていたわ。私がお辞儀をしたら、向こうも手を振ってくれたわよ
そんな事があるわけないじゃないか。だって、この学校に警備員は一人もいないもの
でも、人間そっくりだったわよ
それは君が見たのが右半身だったからだよ。左半身は臓器が丸見えさ
あっ、臓器と言えば、切り裂き魔の噂、聞いた
どんな噂
隣のおばさんから聞いたんだけど、刺された被害者の臓器や皮膚がなぜか丸ごとごっそり剥ぎ取られていたんですって。そうそう、身長はあの人体模型くらい