模型の友

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十年ぶりの同窓会で、懐かしい面々と再会した。話題が仕事の話になったとき、ある友人がこう言った。
「おれは小学校で働いてて」
教師かと聞くと、彼は首を横に振った。
「人体模型をやってるんだ」
友人は言う。
「高校を卒業してから、人体模型になるための専門学校に通ってさ。特別な訓練を積んで、身体の半分を模型に変えられる体質になったんだ。花形の就職先は病院なんだけど、おれは何とか小学校で雇ってもらえて。いまは理科室で子供たちに身体の仕組みを学んでもらうのが仕事でね」
頭の中に奇妙な光景が浮かんできた。友人が自分の臓器を取り出したりして、子供たちにそれが何かを説明している。
俄かには信じがたかったが、友人はつづけた。
「でも、子供たちには困ったもんで、イタズラするやつもいて。臓器を勝手に持ち出したりするんだよ」
友人は、いかにも迷惑そうな顔で言う。
「いまも、心臓がどっかに行っちゃっててさ」
ホラー
公開:18/04/21 07:35
スクー

田丸雅智( 東京 )

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。15年からは自らが発起人となり立ちあがった「ショートショート大賞」において審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、新世代ショートショートの旗手として幅広く活動している。著書に代表作『海色の壜』など多数。

◆公式サイト:http://masatomotamaru.com/

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