おばあちゃんがカモになる二宮金次郎

その小学校では入学式の日に二宮金次郎の除幕式が行われる。毎年新入生から寄付を集め、新しい二宮金次郎が作られるのである。
当初は赤い羽根募金程度の金額だった寄付金も、年々額が上がっているらしい。前の年の金次郎より少しでもグレードアップしたものを、という親の見えがそうさせている。
さらに近頃は祖父母までも参加するようになり、それを利用した金次郎詐欺が勃発するようになった。「金次郎の銅像の寄付金を落としちゃったからおばあちゃんお金用意して」という電話がかかってくるらしい。

金次郎は新入生と共に6年間を過ごし、共に卒業する。金次郎の卒業後の進路を、誰も知らない。
次の年用の金次郎にリサイクルされているという噂もあるが、定かではない。柴刈りに行っているのではないことは確かなようだ。
どこかに金次郎中学校でもあるのだろうか。勉強熱心な金次郎のことだから東大目指して頑張っていることだろう。