当たりの受付嬢

2
140

私は病院の受付で働いている。今日は朝から「当たり」だった。うちの病院では呼びづらい名前の患者さんのカルテが当たると「当たりだね」と言った。

呼びづらいというのは、バカにしているわけでなく名前を呼ぶことによって他の患者さんがついその名前の人を見てしまうようないわゆる変わった名前、芸能人と同姓同名とか、そういう少し気を使ってしまう名前のことである。

しかし、今日は朝から特別だった。「ポセイドンとる子」「アンドロメダ銀河」「五木せまし」「トマト山リコピン」「モス・マクドナルド」…

「今日はわたし、大当たりですね」と先輩に言うと「え?そんな人居た?」と全く同意しない。そう言えばその他の患者さんも全然ざわめかなかった。今日は一体何なのだ。

「ほら、次の患者さんのカルテきたわよ」

私はゴクリと唾を飲んだ。


「爪の垢煎じて飲み子さぁ〜ん」


今日一番声が出た。
ファンタジー
公開:18/04/18 23:28

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容