ハンバーグ

「今日はお父さんのハンバーグよ」
お母さんは冷凍庫からハンバーグを取り出すと、フライパンで焼き始めた。お肉が焼ける香ばしい匂いが部屋中に広がる。
僕のお父さんは世界一のハンバーグ職人。いつも仕事で家にいないけど、みんながお父さんのハンバーグを食べると美味しいって言うから、とっても嬉しい。今日は僕のためにハンバーグを冷凍庫に置いておいてくれたんだ。
「はい、どうぞ」
ソースのいい匂いがする分厚いハンバーグを頬張って、僕は「おいしー！」と叫んだ。

僕も大きくなり子供ができた。
今日はハンバーグを食べさせたいと思いスーパーに向かった。子供は冷凍食品コーナーに駆け込むと、
「お父さ〜ん。コレだよね。おじいちゃんのハンバーグ」
「ああ、そうだよ。あ、でも、今日は同じ会社でチーズハンバーグでもいいなあ」
簡単にさっと作れて美味しい。これが、僕の家庭の味。