壁に耳あり、障子に目あり

先輩、相談と言うのは何ですか
ちょっと、待て。壁に耳あり、商事にメアリ―だ
先輩、それを言うなら、壁に耳あり、障子に目ありですよ
いや、この会社内ではこれで良い。君は最近、入社したから知らないだろうが、この会社にはメアリーと言う恐怖のお局がいる
我が社の七不思議だ
彼女はひょっこり現れる。音を立てず、気付けば誰かの背後に立っている。彼女には気配がない。だから、側にいても誰も気付けない。振り返ると奴がいるのだ。
この前なんか、彼女のせいで密会中の恋人が破局したそうだ
つまり、この会社内のどこにいても彼女の目が光っている。不正なんてもっての外だ
ただ、彼女の最も恐怖な点は噂好きな事だ
人の心の隙間に土足で入り込んで情報を掻っ攫って行く
そして人の秘密を暴露する
痛い目に遭いたくないなら関わりにならず、顔を洗って出直して来る事だ
そうしないと仕事に穴が空く
噂話をする時の彼女の目の色は違うのだ