彼とコーヒー15

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ほっとする。言葉で表現するなら、これが一番しっくりくる。彼といるときの感覚。
「俺は言いたいことはちゃんと言うから、言葉どおりに受け取ってもらって大丈夫だよ。君はいい子にならなくていいからね」
はじめからどストレートに言葉を投げられたので、私はほんとうにただの私だった。
「大切にするって決めたから」
告白みたいだと思った。けれど、そうでないことを知っていた。ほっとするなんて、恋とは全然ちがう。私にとって彼は父のような兄のような親友のような存在であり、正しくはそのどれにも当てはまらない。名前のない関係をはじめて経験している。
「私も大切にする」
ああしてほしいこうしてほしい、と要求ばかりになるのが恋の常。そうでない今が、ずっと続けばいいと思う。できることなら一生友達でいたかった男の子に告白なんかしないで、と願った中学生の私が頭の片隅に顔を出す。いつか終わりが来てしまっても、思い出は尊い。
その他
公開:18/04/17 20:57
短編 ショートショート 小説 400字物語 一話完結 各話完結 連載

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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