それ

少年はその日、大雨にもかかわらず外に遊びに出た。黄色のレインコートを身にまとって。
少年は友人の家に向かう途中、ふと、炉端の排水溝が気になった。何気なくそこに近寄る。
そこで少年は見た。狭い排水溝の中で不気味に笑うピエロの姿を。
「坊や。よく来てくれた。お願いだ、レスキューを呼んでくれ。ハマって出られないんだ」
ピエロは泣きそうな顔で、しゃがれた声でそう懇願した。
少年は急いで家に帰ると「排水溝にピエロが挟まっています」とレスキューに連絡した。
ほどなくして駆けつけたレスキュー隊員に助け出されるピエロ。
助け出されたピエロは少年に何度もお礼を言った。
少年はその後、友人の家に向かった。
友人に先ほどあった出来事を話すと「またか」と一言返された。

なぜならここは中国。
人が何かに挟まってレスキューを呼ぶなど、日常茶飯事の国だ。