スタートダッシュ

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僕はこれが下手だ。
初速が肝心なのに、あれこれ意識しすぎて結局一歩目が遅れる。

スターティングブロックに両足をかけ、大きく息を吸って吐く。
吐き出したはずなのに、緊張しているのか、呼吸した気がしない。

スタートの号砲係がやって来た。
「位置について・・・」
さらに緊張感が高まる。
「用意」
スタートの号砲が鳴るまでが長く感じる。
数瞬後、乾いた音共に、スタート音に集中していた身体が動く。

一歩目がスムーズに動く、二、三、四と今までで一番加速してゆく。
力まず上体を上げ、気持ちよく風を感じながらゴールを駆け抜けた。

「あの・・・」
申し訳なさそうに記録員が話す。
「タイム計れてなかったです、すみません」

幻のスタートダッシュだった。
その他
公開:18/04/15 13:58

りなどら

スレイヤーズの影響を多大に受け、ライトノベル作家を目指すが現実の厳しさにその夢を諦める。
ただ、お話を書くことが好きで、仕事をしつつ、不定期に投稿させてもらってます。

その内400字でバトルもの書きたいなと。

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