猫鉢

何気なく読んでいた情報紙の左下。
さっきまで左手があった所に、『猫鉢』の広告があった。
ペット不可の賃貸物件に住まう動物好きのため、動植物が開発されたという。
調べてみると『猫鉢』の他にも『プランターキャット』なるものがあり、こちらには洋猫が生えるのだとか。
昔飼っていた三毛猫を思いだし、私はその場で購入を決めた。

さてさて届いた猫鉢は、両手に収まるほどの黒い鉢。
既に中には種が植えられていて、水を遣れば7日で芽が出ると書いてある。
はてはて猫が生えるの種は、一体どんな形なのだろう。
私はどうしても気になって、指で土を掘ってみた。
ぶるり
まるで鉢が逆毛を立てるように震え、思わず鉢から手を離した。

威嚇されてから7日目の朝。
初日の衝撃にも負けず、猫が土から顔を出していた。
だが、おかしい。注文したのは三毛猫のはずだ。
この模様は……


『お客さん。もしかして鉢、割れてません？』