葬式映え

彼女は言った。
「人の一生は、葬式を見れば一発でわかる。 財力があればどでかい斎場。人脈があれば多くの参列者。慕われたなら、より多くの涙。」
「まあ、確かに。」
「最近は自分の葬式も、インスタ映えの対象らしくて。私も、その準備をしてるの。」
「準備って？」
「まず、葬式へ出向くサクラの予約でしょ、祭壇デザインの打ち合わせ、洒落た香典返し、とか。」

そんな話をしていた彼女が、先日急に亡くなった。葬式では、沢山の参列者、豪華な祭壇、多くの涙がみられた。
その日のインスタ。
「葬式なう。」
一瞬ゾッとしたのは、その投稿が亡くなった彼女のものだったからだ。だかすぐに仕掛けに気づいた。

「…それから、死後の「インスタ代行」なんてのもあるのよ。」

彼女はきっと、自分の承認欲求に取り殺されたのだ。そして虚しいことに、この投稿に対する「いいね！」は未だついていない。