彼とコーヒー13

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なぜ生きているんだろう。そんなことばかり考えて、考えすぎだと言われたところでやめられず、せめて気にしない程度ならよかった。ただでさえ体力がないのに消耗が激しすぎる。傍目からしたらなんともないことが苦しかった。いっそわかりやすい病気になりたい、などと考えていた私の青春時代のどこが健全だったと言えるだろう。もう我慢しなくていいよ、の言葉だけが聞きたかった。

今になって思う。私は一体なにを我慢していたんだろう。逃げるということはとても重要だ。あれはまさに生命存続の危機だったので、私はなりふり構わず逃げるべきだった。タイミングを逃したまま、何年間も置いてけぼりになってしまった。
「抱きしめてあげたい」
私は言った。昔の自分に会いに行って抱きしめてあげたい。えらかったね、もう大丈夫だよ、って。

月曜の朝、私たちはカフェでモーニングを食べる。彼がやわらかく微笑むのを見たとき、幸せの味がした。
その他
公開:18/04/15 19:55
短編 ショートショート 小説 400字物語 一話完結 各話完結 連載

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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