それ、なあに

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お客様、あれだけ散々飲み食いして、それ、なあに、はないでしょう。お代を払って下さい
すまない。手元にはこれしかないんだ
男は袂から竹細工の百合を店主の前に出した
こんな安物じゃ、料金の足しにもならないよ
し、しかし、これは
その様子を見ていた白髭の老人がいきなり口を挟んだ
こ、これは左甚五郎の作った竹百合ですよ。売れば時価数億にもなります。鑑定士の私が言うのだから間違いない。店主、ここはこれで勘弁してやってはどうですか。
それもそうですね
店主は欲深そうな笑顔を見せた。だが、男の次の言葉に固まった
分かって貰えれば結構です。それではお釣りを下さい
えっ、ウチにそんなお金はありませんよ。一晩待って下さい。老舗の質屋に持っていって鑑定をして貰います。その後、本物だと分かったら、それを売ってお金に換えてきます
では、一晩、待ちましょう

旦那、上手くいきましたね。あんな安物で無銭飲食できるなんて
公開:18/04/13 09:16

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