片思いの目的地2

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僕は彼女のために毎日お見舞いに行った。
同じ顔を何度も見るのは正直鬱陶しいと思われていたかもしれないが、僕の前では嫌な顔一つしなかった。
もともと体が弱くて入院を繰り返していた彼女と、二人きりになれるお見舞いが好きだった。
ずっとこの状態が続いてもいいとさえ思っていた。邪な考えではあるが……。
母親から聞いた「あなたといる時が、あかりは一番楽しいみたいなの」という一言で僕は泣きそうになった。
彼女の生前の想い出に浸っていると涙が止まらなくなりそうだ。
ギュッと目に力を入れたが、涙腺は蓋をしてはくれないようだ。
あかりへの片思いは、決してたどり着くことのない目的地へと消え去った。
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公開:18/04/12 23:38

もこもこ( 九州 )

学生やってます。
やっぱり定期的に書かないと全然書かなくなりますね。
まあ気楽に書いていきます。
小説家志望です。よろしくお願いします。
 

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