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真っ白の密室。
僕だけの空間
僕はこの生活が嫌いではなかった。
なぜなら、一人の友達がいたからだ。

毎日のように面会に来る両親や、担当医の先生の巡回。
それらを避けて、その子は僕に会いに来た。
もちろん扉は厳重に閉じられている。
だからその子が来るのは、いつも窓からだった。
ここが三階だとか、いつも同じ服だとか、そんなことはどうでもよくなるほど、その子と話す時間が楽しかった。
彼は僕にとってはその窓が、唯一の世界に通じる扉だったのだ。
春には向日葵を、夏には蛍を、秋には紅葉を、冬には雪を。
外を知らない僕に、切り取った世界を届けてくれた。
そんな生活を10年ほど続けていた頃、僕の病に効く特効薬が発見された。
副作用は……


10年の眠りから僕が目を覚ました時、両親は泣いて喜んだ。
密室に窓などあるはずも無く、彼は二度と僕の前に現れることはなかった。
ミステリー・推理
公開:18/04/12 17:15
更新:18/04/25 03:57

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