彼とコーヒー11

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ねぇなんで、なんでなんでなんで。しつこい、と鬱陶しがられた幼少期。世界のぜんぶが新しいことは面白くてすこし寂しかった。だから今、教えてと言えば教えてくれる人がいることは素晴らしい。たいていの人は頼んでもいないことを教えたがるのに、教えてほしいことはそんなこと聞くなとか常識だとか言う。窮屈でたまったもんじゃない。でも、それは私が聞く相手を間違えていたにすぎないのだ。自己責任、という4文字を知ってから私の心は明らかに軽くなった。
「自立したい」
一刻も早く。はやく大人になりたかった。喉から手が出るほど、自由が欲しい。
「応援するよ」
彼が言う。焦らなくていい。
「今できることをやる。結局、それしかないからね」
私は絶望と似た心地を覚えながら、歳を重ねるごとに人生は楽しくなるとほとんど確信的に思う。今できることをやりながら、生きるしかない。そうノートに書き留める。2冊目になった。
その他
公開:18/04/13 22:12
更新:18/04/13 22:14
短編 ショートショート 小説 400字物語 一話完結 各話完結 連載

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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