天使のいたずら

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「何してんだ」
 弟がリュックの中身を出しているので僕は腹が立った。
「ぼくもおやつほしい」
「きょうは遠足だからあげられないよ」
 リュックを詰め直そうとした時、「ちょっと来てー」と母に呼ばれた。
「もとに戻しとけよ」
 弟に言いつけ、僕はリビングから出た。
 きょうは待ちに待ったハイキングだ。リュックに違和感があったけど、僕の足取りは軽かった。
 仲良し三人組で森の中をわいわい騒ぎながら歩く。
 気付いたら先生やクラスメートとはぐれ、深い森に三人だけ。
 もう何時間経ったんだろう。
 お弁当もおやつももうない。お腹が空いた。リュックが重い。もう歩けない。先生、助けて――

 ええ。生徒たちは一週間さ迷っていました。本当に助かってよかったです。飲まず食わず? いえ、それがマヨネーズを吸っていたんです。リュックの底に三本あったと。
 ひとりの生徒の弟がいたずらで入れていたらしくて――
ホラー
公開:18/04/12 04:16

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